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だいぶ久々の更新になりました。そろそろブログのタイトルを Allegro vivace(快速に)から Grave(重々しく)とか Lento(のろく)に変えたほうが良さそうな気がしてきましたが、Allegro vivace という言葉の響きが気に入っているので変えないつもりです。それと・・・こちらはたしかに放置気味ですが、サブ・ブログの TUMBLR はちょこちょこ更新しているのに、殆ど見に来てもらえません。一週間に 2・3 回アクセスがあるかないかといったところです。ちょっと投稿の仕方が乱暴すぎでしょうか。
 
 さて、本題に入ります。いったん TUMBLR に投げたテーマについてもう一度ここで詳しく書こうと思います、すこし珍しい作曲家、パルシャウについてです。
 

パルシャウって誰?

Cembalokoncert nr. 2 i D-dur - Allegro assai
(►をクリックで再生)
 
 これをお読みのあなたは、パルシャウという作曲家(前古典派)の名前を聞いたことがありますか?チェンバロの巨匠 クリストファー・ホグウッド(Christopher Hogwood; イギリス)や ラルス・ウルリク・モアテンセン(Lars Ulrik Mortensen; デンマーク) がパルシャウの作品に光をあて、ヨーロッパではちょっとブームがあったみたいですが、日本ではまだ名前すらほとんど知られていないようです。
 
 パルシャウ(Johann Gottfried Wilhelm Palschau; c1741 - 1815, 現ラトビア共和国・ロシア)は 幼い頃から鍵盤楽器の演奏においてその神童ぶりを発揮し、9歳のときに外国への演奏旅行を経験しました。その後はリガ(現ラトビアの首都)にてミューテル(Müthel, Johann Gottfried)に師事し、以降は作曲家・鍵盤奏者として活動をしていたようです。大バッハから直接レッスンを受けたことがあるかどうかは定かではないのですが、大バッハのチェンバロ曲、中でももっとも難易度の高い曲を精確に演奏したと伝えられています(1779年ロンドン)。鍵盤楽器の演奏において非常に優れていたことは、大バッハの息子カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(Carl Philipp Emanuel Bach; 1714 - 1788, 以下 C.P.E.バッハ)も認めていました。当時は父である大バッハより遥かに有名で作曲家・音楽理論化としても名声を得ていた C.P.E.バッハですが、ローマ皇帝に宛てた手紙の中で「パルシャウは私より遥かに上手に演奏します」と述べています。(※しかし加えて C.P.E.バッハは「彼(パルシャウ)はすばらしい技術を持ちながら、私の父(大バッハ)の作品をほんとうに酷く演奏するのです」とも書いていて・・・この言葉の真意が今のところ私にはつかめません・・・。)
 
 リガで活躍した後、パルシャウはサンクトペテルブルクに移り、亡くなるまでの40年間、鍵盤楽曲などの作曲にその人生を捧げました。彼の残した作品は、シュトゥルム・ウント・ドラング(独:Sturm und Drang)の時代に少なからず影響を受けています。「シュトゥルム・ウント・ドラング」というのは 18世紀半ばから後半にかけてドイツに起こった文学史上でとても有名な革命的運動のことです。あのヘルダーやシラー、ゲーテなどの詩人・作家もこの頃に影響され活躍した人です。思想としては、古典主義・啓蒙主義に反対し、感情というものに重きをおくというものです。音楽史においてはこの「シュトゥルム・ウント・ドラング」について話題になることは少ないのですが、実際 ハイドンや C.P.E.バッハもこの時代の風潮に影響を受けた、Empfindsamkeit(繊細な感情表現・多感様式・感傷様式、などと訳される)の楽曲を残しています。ただ、パルシャウの作品はそれらと比べて完全に Empfindsamkeit に傾倒していたというわけではない様子で、いくらか保守的な面もあるように思います(このへんからaitqbの勝手な感想)。先に述べたとおり、「シュトゥルム・ウント・ドラング」は主に文学の分野で取り上げられ、音楽史を語る上ではあまり触れられることがありません。しかし芸術の歴史を広い視野で見渡したとき、後のロマン主義へとつながるこの大切な時代に音楽家たちが何を考えどう影響されていったのか、クラシック音楽に携わる人たちはもう少しこのことに感心を持ってもいいのではないかと私は思います。
 
 以下に紹介している、去年わたしが購入したディスクはパルシャウのチェンバロ協奏曲のなかで唯一現存する 2曲が収録されています。なにしろ美しいので一度聴いてみてください。特にハイドンのハッピー系協奏曲が好きな方、きっとツボにはまると思います。
 


“J.W.G. Palschau, J.A.P. Schulz”:
Concertos And Solo Works For Harpsichord

 
 
<収録曲>
Johann Gottfried Wilhelm Palschau
 Cembalokoncert nr. 1 i C-dur (1771)
  1. Allegro
  2. Andante
  3. Allegro assai
 Cembalokoncert nr. 2 i D-dur (1771)
  4. Allegro gravitato
  5. Adagio
  6. Allegro assai
Johann Abraham Peter Schulz
 Six diverses pièces pour le Clavecin ou le Piano Forte, Op. 1
  7. I Preludio. Allegro comodo
  8. II Andante sostenuto
  9. III Allegro maestoso
  10. IV Andante
  11. V Allegretto
  12. VI Larghetto con variazioni
 
<演奏>
ラルス・ウルリク・モアテンセン(Lars Ulrik Mortensen)
コンチェルト・コペンハーゲン(Concerto Copenhagen)
 


 コンチェルト・コペンハーゲンは、Myspace に参加しており ここ でプロフィールを閲覧できます。そして今回わたしが TUMBLR にアップロードした楽曲は、Myspace でも紹介されている、パルシャウのチェンバロ協奏曲、ディスク収録曲の第6番です。一度彼らの録音を聴けば、表情豊かな音色と楽曲そのものの魅力を最大限に引き出す素晴らしい演奏に、きっとあなたもぞっこんになります。
 
 そして以下のビデオはパルシャウではありませんが、Myspace TV 公開されているコンチェルト・コペンハーゲンの演奏風景。曲は Hippolyte et Aricie (Rameau)から Act 1-Tonnerre (ラモーの代表的な作品『イポリトとアリシー』)です。冒頭部は激しく演奏されてよい曲なんですが、それにしても激しいですね。モアテンセンがあまりに首を振るので頭が飛んでいってしまわないか心配です。
 
Rameau

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 上のオーディオファイルやこのビデオをご覧いただけばわかるとおり、モアテンセン率いるコンチェルト・コペンハーゲンの演奏は劇的・情熱的で、マルク・ミンコフスキ(Marc Minkowski)とその手兵レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル(Les Musiciens du Louvre)の演奏とちょっと雰囲気が似ていますが、コンチェルト・コペンハーゲンのほうがより躍動的で快活かもしれません。また同時代の音楽を扱って優れた業績を残しているウィリアム・クリスティ(William Lincoln Christie)と彼の率いるレザール・フロリサン(Les Arts Florissants)の、アンサンブルの響きを大切にした穏やかな演奏と比べるとかなり対照的です。どれが優れているかは別として、同じ曲について彼らの解釈(録音)をそれぞれ聴き比べることで楽曲の以外な側面が見えてくることもあり、とても面白いです。
 
 バロック音楽といえば表ではドイツの音楽ばかりがもてはやされていた時代が長く続いていた中で、フランスやイタリアのバロック音楽を開拓してきた彼らの仕事はとても素晴らしいものですし、これからも期待したいと思います。


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